蓄電池

【2021年1月版】家庭用蓄電池を導入しても良い人とは?蓄電池事情を解説

電池イメージ

家庭用蓄電池というものをご存知でしょうか?
創エネ・蓄エネなど言われ、少しは認知されてきていると思います。

家を建てる時など、ハウスメーカーに蓄電池と太陽光をセットで導入しましょう!などと言われた方もいるのではないでしょうか。

そんな蓄電池ですが、導入するとよい人・しない方がよい人がいます。

ズバリ、導入してよい人は「災害に備えたい人」だけです。

お得だからとか、電気代が安くなるとかは鵜呑みにしない方が良いです。
蓄電池とは何なのか、どういった事ができるのかを解説してみます。

蓄電池とは

何となくイメージできると思いますが、蓄電池とは電気を蓄える設備です。
電気を蓄えておいて、どう使用するのでしょうか?

はじめ君

停電した時じゃないの?

しょーん

一般的には3つの使い方があるよ

  • 停電した時の電源として
  • 深夜電力(安い電気代)を貯めて、日中(高い電気代)の時に使う
  • 深夜電力を貯めて、太陽光で発電した電気の代わりに使用する
はじめ君

太陽光で発電した電気の代わりってどういう事?

1つめの停電は分かりますね。
最近多発している台風災害などで停電した際のバックアップ電源として使用する方法です。

2つめはオール電化の家での場合ですが電力会社の契約によって「日中と夜間で電気代が異なる場合」のパターンです。
夜間(例:10円/kWh)を貯めて、日中(例:25円/kWh)に15kWhほど使用すると225円/日電気代が安くなります。
1ヶ月で大体6,700円程度安くなりますね。

3つめは太陽光を設置していて、売電をしている場合です。
内容としては2つめと殆ど同じですが、家で作った電気を自家消費せずに積極的に売ろうという事です。
ただ、2021年現在は売電単価が安いので効果が薄いのが現状です。

蓄電池の種類

色々な種類の電池

蓄電池には色々な種類があります。
もちろん良い機能ほど高額になりますが、それぞれどういった特徴を持っているのかみてみましょう。

電池自体にもリチウムイオン電池や鉛電池、ニッケル水素電池などありますが、当サイトではリチウムイオン電池を基本としています。

特定負荷型蓄電池

名前に「特定負荷」とある通り、決まった場所で電気を使用するタイプです。
特定の場所とはどこでしょうか。

蓄電池設置の際に決める事になりますが、基本的には停電した時に困らない最低限の場所となります。

例:冷蔵庫・電子レンジ・照明…など

また、特定負荷型は200V出力ができないので温水器(お風呂)やIHクッキングヒーターは使用できません。

全負荷型蓄電池

全負荷型は名前の通り、全ての負荷に対応します。
停電を想定した場合の蓄電池選定でも、電気代の「お得」を目的とした蓄電池でもこちらを選ぶのが基本と言えます。

また、200Vも出力できる(一部出来ない機器もある)ので、お風呂やIHクッキングヒーターも使用できます。

唯一のデメリットは特定負荷型に対して高額になるという点でしょう。

単機能型蓄電池

蓄電池システムだけで完結する設備です。

夜間に蓄電池へ電気を貯める→日中に貯めた電気を使用する

この機能のみが使用できるのが単機能型です。
台風などで長期停電になってしまうと、蓄電池に貯めた電気を使い切った後は充電手段が無いという事態になってしまいます。
(効率は悪いですが太陽での発電ができない訳ではない)

ハイブリッド型蓄電池

太陽光発電設備と蓄電池を掛け合わせたハイブリッドとなります。

単機能と違い、長期停電になった場合も太陽光があれば蓄電池を充電する事ができます。

例えば太陽光発電5kWhの場合、100%性能発揮すると15kWhの蓄電池を3時間で満充電可能。

特別な理由がない場合は、なるべくハイブリッド型を選びたい所です。

蓄電池の選び方

各メーカーから色々な種類の蓄電池が出ていて、どれを選んだら良いのか迷ってしまうと思います。

蓄電池を導入したいけど、何を基準に選べばよいか分からない方に選ぶ基準をお伝えします。

蓄電池を導入して何に使いたいのか

思いつく用途を挙げてみましょう

  • 台風などの災害に備えたい
  • 深夜電力を貯めて電気代をお得にしたい
  • 太陽光発電のFIT制度期間が終わるから
  • 新築時にハウスメーカーに勧められたから

これらの用途の中で、目的と手段が合っているのは災害等停電に備えるだけなので、こちらを更に深堀りしてみます。(理由は後述)

  1. 停電時に使いたい機器は
    • 家の電気丸ごと使いたい【全負荷型】
    • 冷蔵庫など最低限でよい【特定負荷型】
  2. 停電の日数はどの程度を予想するか
    • ~1日程度【単機能型】
    • 2日以上 【ハイブリッド型】
  3. リビングエアコンやIHクッキングヒーターを使いたいか
    • 使いたい【200V出力対応】
    • 使わない【100V出力のみでOK】
  4. 一度にどのくらいの電気を使いたいか
    • 1部屋+IHや電気温水器は同時使用しない【3kVA程度】
    • 気にせずいつも通り使いたい【5kVA以上】

①と②については、先程見た「蓄電池の種類」の通りですが③と④は馴染みがないですよね。

こちらについて解説します。

③200V出力とは
全負荷型蓄電池の中には、200Vを出力できない物があります。
これを設置してしまうと

お怒り君

全負荷って言ってたクセに、エアコンもIHクッキングヒーターも電気温水器(お風呂)も何も使えねーじゃん!!

となってしまいます。
設置前に100/200Vどちらも出力対応しているか確認しましょう。

④○○kVA(定格出力)とは
100/200V対応の全負荷型を導入したから停電は怖くない!と思って、いざ使用してみると

お怒り君

いつも通りリビングでテレビ観ながら妻がキッチンで料理してたら急に停電したんだけどっ!!

なぜでしょうか?
これには「定格出力」が関係しています。
要は同時に使用できる電気量がいくらかという目安です。
停電時に普段どおりの生活がしたい方は、できれば5kVA以上の定格出力を持った蓄電池設備にしましょう。


蓄電池は目的で選ぶ事、少し理解できたでしょうか?
蓄電池の利用目的で説明しなかった他の項目ですが、以下のとおりです。

・深夜電力を貯めて電気代をお得にしたい
→電気代ではイニシャルコストの回収が不可能

・太陽光発電のFIT制度期間が終わるから
→上記同様、太陽光で電気を完全自家消費しても元が取れない

・新築時にハウスメーカーに勧められたから
→後悔しかしません。やめましょう。

蓄電池の価格

メーカーの希望小売価格から見る、蓄電池の価格はこのようになります。

伊藤忠商事:スマートスターL 容量9.8kWh
希望価格 2,930,000円(約30万/kWh)

ニチコン:ESS-H1L1 容量12kWh
希望価格 4,200,000円(約35万/kWh)

これは工事費を含まない機器のみの価格なので、あくまで参考にしかなりませんが、全負荷型+ハイブリッド型だと1kWhあたり30万円が相場感となります。

仮に12kWhを全て使用できたと仮定し、電気代を試算してみます。
(夜間電力 10円/kWh・日中電力 25円/kWh)

12kWh×15円(夜間との差額)=180円
180円×30日=5,400円(年間 64,800円)
4,200,000(蓄電池価格)÷64,800円=約65年間

非常に乱暴な計算ですが「電気代でお得に♪」という理由で蓄電池を購入すると、イニシャルコストの回収に65年掛かるという事になります。
間違いなく原価回収前に設備が壊れますね。

次は国の目標価格を基準に試算してみます。
こちらをご覧ください。

資源エネルギー庁:定置用蓄電池の価格低減スキーム

VPP補助金と言って、目標価格を下回った機器には補助金を出すと言うものです。
寿命15年の設備を2020年度にエンドユーザー価格で9万円/kWhで提供する前提となっています。こちらを基準に試算すると…

設備価格(12kWh)=9万円×12kWh=1,080,000円
1,080,000円÷64,800円(年間お得になる電気代)=約16年

激おこ君

原価回収に16年って寿命15年を超えとるやないかい!

この様に、家庭用蓄電池を投資目的で運用することは、現状相当難しいと思われます。

まとめ

現状家庭用蓄電池を設置するのに相応しい人は冒頭で述べたように

災害等の停電対策として蓄電池を導入したい

コレ以外に導入を検討する余地はありません。

理想的なのは「基本的には災害に備えておいて、普段は夜間電力で電気代がお得になればいい」程度の気持ちで導入する事だと思います。

費用についても、実際は定価より安くなる事も多々あります。
国や地方自治体の補助金もありますので、これらをうまく活用すれば「災害に備えた上に減価償却も出来た」となるかもしれません。

次回は実際に掛かる定置用蓄電池の費用(適正な本体代+工事代)や、卒FIT後の費用的に見合う蓄電池導入などを解説していきます。

ではまた!